マリコラム

2013年07月25日(木)

教養と実用

友達の働く学校の入り口にある学生の出身地分布図!


 

 

日本でいま、静かに「教養」ブームが起きてるって

最近のニュースで聞いた。

 

企業のトップクラスの社員が高い受講料を払って、

仕事とはまったく関係のない、

ユダヤ教の歴史とか天体観測などを受講しているとか。

 

専門分野の知識だけでは、自ら考え主体的に動く人材は育たない、

ましてや人を動かすリーダーは生まれない、という

スキルを重視しすぎた日本企業の反省の反映らしい。

 

こういう企業は、だいたい海外に支社を持ってて、

現地の社員との意思疎通が難題だったとか。

 

この場合の意思疎通は、言葉の壁だけじゃなく、

言葉のさらに奥にある文化だ。

 

仕事に必要な知識だけだと行き詰まる。

特に、地球が小さくなるにつれ、自分たちの常識だけだと通用しないことは多い。

 

日本企業のトップランナーたちが、いま「教養」に目を向け始めたのは、

なにも、話のネタ作りや自己満足のためではない。

 

さて、日本で暮らしている限り、英語は特に必要ないから「教養」だ。

でも英語圏に出たら、英語はたちまち「実用」になる。

知ってると役に立つどころか、知らないと困る。

 

だから英語を学ぶなら、留学するのが早いってことなのだが、

じゃあ、英語をほとんど使わない人が、教養として英語を学ぶのはどうか。

企業戦士じゃなくても役に立つのか。 脳の活性化なら語学じゃなくたってよさそうだ。

 

オーストラリアの中学、高校で日本語教師をしている友人が、

それについて面白いことを言っていた。

 

国際公用語の英語を学ぶならともかく、もう英語が話せる人が日本語を勉強するとなると、

さらに実用性は低いだろう。

 

実際、オーストラリアの学生たちの中には、なんで日本語を勉強しないといけないのか、

自分には関係ない、という疑問を投げてくる子もいる。

 

日本語を専攻している大学生ではなく、いわばフツーの中学生だ、無理もない。

 

「勉強嫌いの言い訳するな!」 と一喝することもできそうだが、

そんな時、その友人はこういうふうに伝えるそうだ。

 

 

自分はいままで世界中を旅して、いろんな僻地、辺境を訪れたが、

それらをひっくるめても、人生最大のカルチャーショックは、何と言っても「結婚」だった。

 

自分の場合は同じ国籍の人だったにもかかわらず、そうだった。

 

いままで全然違う人生を歩んできた同士が、突然一緒に住み始めわけだから。

 

幸せな大人になるには、そのカルチャーショックを乗り越えて、楽しんでいかないといけない。

結婚するしないにもかかわらず、みんなはこれから違う文化の人たちとどんどん接していく。

 

語学というのはその国で作られた文化だから、そのまま文化の違うを学ぶこと。

 

これは実は、将来幸せになるための準備になる、と。

 

確かにこれはいえてて、私自身も日本語と英語の違いを教えながら、

モノの見方考え方の違いに気づくことが多い。

 

言葉というのは、いちばん私たちに身近な文化なのだ。

 

語学を学ぶのは、使えると便利だから、という実用ももちろんある。

 

だけど覚えておこう、実は文化の違いを学び

自分への「幸せ貯金」をしていることを。

 


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投稿日時:2013年07月25日(木)8:38 AM

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