マリコラム

2014年01月31日(金)

たかが、されど、TOEIC 

toeic

 

私は日本から来た留学生に英語を教えている。

 

以前は基礎英文法や英検がメインだったが、

ここ数年は、時代の要請かTOEICがメインになってきた。

ご存知のように、日本で英語力を判定するのに、

TOEICがいまのところ主流のようだ。

 

英検では、2級と3級はもちろん、2級と準2級でもレベルの差は大きい。

それに比べて満点の990まで5点単位で測定できるTOEICは便利だ。

1級や2級のハードルを飛び越える英検を「走り高跳び」としたら、

TOEICは「走り幅跳び」といえる。

 

走り幅跳びといえば、小学校の陸上記録会の時、

助走の途中に、勢いあまって思いっきりコケて、

忘れもしない記録、61センチを測定されたことがある。

クラス全員の記録はしばらく教室の後ろに一覧として貼り出された。

 

その記録の屈辱は、

そのときつくった鼻の上のカサブタとともに、

なかなか消えなかった。

 

TOEICで、

例えばマークシートを一つずつ塗り間違えとか、

大失敗して落ち込む学生を見るたび、

あのときの自分を投影してしまう。

 

 

そう、合否判定ではないだけに、TOEICの点数は

どんなに低くても自分だけの点数としてはじき出される。

 

英検の場合は2級のバーを危うく越えても、

余裕で越えても、2級は2級。

合格証には「英検2級 ギリギリ合格」とは記されない。

しかも、一回跳び超えてしまえば、それは一生の記録として残る。

一度合格すれば一生モノ、

将来「うちのおばあちゃんは、英検2級!」と、

孫たちに自慢されることも可能だ。

 

それに対して、TOEICの命は2年間。

高得点を取って自慢できるのも2年なら、

走り幅跳び61センチに匹敵するほどの点数をとっても、

2年で記録は抹消される。

 

この、賞味期間つきのTOEICだからこそ、

英語力の信憑性が高いと、

就職等の英語力判定として採用されるのだろう。

 

今年の学生たちもTOEICの点数に一喜一憂した。

TOEICの点数に嬉し涙も悔し涙も流した。

「たかが点数だよ、あなたの英語力はこんなモンじゃない!」

と言ってあげたいけど、

英語力を一人一人判定するだけの時間や

審査する側の英語力が足りないと、

就職試験などではやっぱり

点数に頼るしかないのもいた仕方ない。

だったら文句ない点数を取ってもらうしかないのだ。

 

その点数が、将来彼らを守ってくれるなら、

できるだけ高く高く飛んでもらうしかない。

 

英語の伸びは、すぐ目に見えるものではないから、

時にはすべての努力が無駄に思えることもあるだろう。

 

大海を手漕ぎボートで横断してる感じ。

漕いでも濃いでも、見えるのは水平線だけ。

星も見えない不安な夜もある。

 

でも、やっぱり漕ぎ続けないかぎり、ゴールは見えてこない。

でも、漕ぎ続けてる限り、自分は昨日と同じ場所にはいないはず。

 

大海を漕ぎ続ける情熱、方向を見失わないコンパス、

これらをずっと保ちつづけてもらえるように、

これからもずっとエールを送っていこう。

 

(2013年4月に入学して明日卒業する学生をはじめ、

いまも英語に悪戦苦闘してる卒業生のみんなへ)

 


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投稿日時:2014年01月31日(金)2:44 PM

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