マリコラム

2014年02月27日(木)

無名のスポンサーたち

                                 カナリア諸島にて(1998年)

                  カナリア諸島にて(1998年)

 

最近、世界の辺境から日本の若者が減ってるらしい。

日本のある冒険家がラジオ番組で話していた。

 

エベレストの登山隊を募集したら、

世界中の若者が集まる中で、

日本からの志願者は60代が大半だったという。

 

日本の若者はどこへ消えた、なぜ旅をしない、と

よく海外の冒険家たちから質問されるそうだ。

 

不安定な世の中で、安定を求めると、

動かないのが無難だ。

でも 「安定」 の中では、

命を揺さぶられるような感動は起こりにくい。

 

先の冒険家が旅に出るとき、「命知らず」 と言われることがあるが、

まったく逆だ、と言っていた。

 

旅先で野垂れ死にした遺骸を目にするたび、

心底おびえるし、絶対死にたくない!と、

ますます生に執着するようになるという。

 

海外には興味あるけど、お金もないし、

言葉もできないから、きっと苦労する。

だったら、今の生活のほうがまだマシだろう。

 

そんな思いを抱きながら、

日常の軌道から飛び出せない若者も多いかもしれない。

 

実際、私もそんな日本の若者からよく相談をうける。

 

「ワーホリ考えてるんですけど」 というのが一番多いが、

ついつい親心で、安全面ばかりを心配してしまう。

 

十分な予算がないと苦労するよ、

仕事だってそんなに簡単には見つからないよ、

と現実的なことばかり口にしてしまう。

 

それはそれで本当だし、安全なのがいいに決まっている。

 

ただ、お金を自由に存分に使える旅なら、

まだまだ人生の先でもいいような気がする。

 

少ない予算で、

工夫して大変な思いをしながら、

時には身の危険を感じながらも、

本能や知能を研ぎ澄ませて生活力を鍛えていく。

 

そんな中で差し伸べられた手に、

心底ありがたいと感謝する。

日々、たくさんの人に助けられて、

自分は生かされてきたのだと実感する。

 

楽な生活からは決して学べない感情。

 

そして振り返ったときに、その時代は、

苦労したけど、辛いのとは違うと気づく。

本気で生きた、楽しい時間だったと思える。

 

そんな経験は、自分を強くするばかりか、

いつかそんな昔の自分を見つけたときに、

きっと応援してあげたいと、

次の世代にバトンタッチされるのだ。

 

最近、そんな 「もがきながら進む」 若者に出会って、

昔の思い出がよみがえってきた。

 

冒険ではないけれど、

仕送りもなく貧乏な大学時代、

私の同郷というだけで、アパートに差し入れの

みかんを持って訪ねてきた先輩がいた。

「よかったら、食べてね」

と紙袋を差し出したその先輩のメガネは、

フレームが壊れてて、セロハンテープで貼り付けてあった。

 

苦労した時代の恩はいつまでも残る。

そしてまた、頑張ってる誰かを応援したい、という気持ちで生きる。

 

そんな思いをしている人は、世の中にたくさんいると信じたい。

本気で頑張ってる人は、きっとそういう人に見つかる。

 

自分の外の世界へ、

踏み出す一歩を迷ってる若者に、

 

「大丈夫、もがいてごらん。

世界には 『無名のスポンサー』 がたくさんいるから」

 

と言ってあげたい。

 

 


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投稿日時:2014年02月27日(木)11:31 AM

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