2012年05月04日(金)
異国で車窓の人になる。
電車のよさといえば、車内移動が比較的自由なこと。
飛行機やバスだとこうはいかないし、そういう気にもならない。
オーストラリアに来る前、ヨーロッパを2ヶ月ほど電車で旅した。
陸路で行く、のんびりした旅がしたかった。
時間に追われる社会人にはできないことだったから。
幾度か国境を越え、緑のトンネルを抜けた。
電車の中でチケットとともにパスポートのチェックというのが新鮮だった。
対岸にそびえる古城を見上げながらドイツのライン川沿いを走った。
ブドウ畑が延々と続く南仏の田園風景。
摘んだばかりのトマトを山ほど背負ったイタリアの元気なおばさんたちの会話。
内容はわからなくてもこちらまで思わず笑える楽しそうな笑顔。
1等車には、金婚式記念にハネムーンを再現するフランス人の老夫婦。
ゆっくりいく電車の旅だ。 時間ならお互いたっぷりある。 何なら食堂車でお茶でも?
仲良くなってその夜、泊めてくれたドイツの女学生もいた。
3時間も話し込むと他人の気がしない。
電車の旅は、窓からの風景と、乗り合わせた人々との出会いを楽しむ旅だった。
目的地から目的地。
点と点を結んでゆっくり行くからこそ味わえる、贅沢な線の旅。
下からマリコラム解説:この旅は当時1年半ほど滞在したイギリスから帰国する前に、一度ゆっくりヨーロッパを旅しておこうとユーロパスを買って始めた旅でした。パスが切れてギリシャに着いてから、地中海の島に渡ってサイクリングしたり、現地のツアーに申し込んでギリシャ人に混じってエジプトまで行ったりしてるうちに、まだ日本に帰るのが惜しい気がして、結局、そこからオーストラリア大陸へと方向を変えてしまったという大掛かりな旅になりました。
—–あれから12年、まだこっちにいまーす!(笑)
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