マリコラム

2012年04月13日(金)

オージー流の教育について。

 

 

 

オーストラリアで、受験戦争に疲れて自殺するような学生はまずいない。 まず「受験戦争」って言葉が存在しない。 すべては本人次第で、「勉強したい人はどうぞ」という姿勢だ。 10年ほど前は、大学の授業料はすべて無料だった。 しかも大学院まで。 向学心のある人のため、全額政府が負担していた。 (さすがに資金難に陥って断念したけど) それなら学生がなだれ込むかと言うと、そうでもなくて、大学の広大な敷地の中に学生はまばらだった。 本当に勉強したい人だけ、嫌々ながらとか、みんながやってるから、という学生はいなかった。 大学さえ行けば将来が保証されるという、「学歴信仰」とも無縁なお国柄が反映されている。

 

どの大学も個性を大事にする。 人と同じ意見や賛成ばっかりしてる生徒は先生方から面白がってもらえない。

例えば、試験でその試験管の教授の著書について出題されたとき、「教授の著書はすばらしい!」なんてベタボメしてたら、あまり関心を持ってもらえない。

「私だったらこうは思わない」と書いたら、「ほお、面白いことを考えてる学生だ。是非うちのゼミでいっしょに研究してもらおう」ということになる。 誰かの考えを押し付けるんじゃなくて、その人だけの考えを見つけて伸ばすのが、教育の本分なら、こういうことになるのだろう。

 

学閥にもとらわれない新しい国だけに、世界中から若い有能な学者が次々と招待されている。 いくら面白い研究をしても、成果をあげても、年齢や経験や学閥で自国では評価されない学者たちが、この国の大学や研究機関で自由に奮闘している。

 

その結果、こんなアバウトで、交通機関の時間割もあてにならない国が、医学や生物学で目を見張るほどの成果をあげている。オーストラリアのエイズ治療研究は世界のトップランナーで、アメリカからも多大な研究寄付金が寄せられているほどだ。

 

個性と自主性を重視したオーストラリアの教育。 

だけど、出身校や学歴を鼻にかけて自慢しているような人は人間性を疑われる。 話題にものぼらない。

 

追記:このコラムを書いたのが、今から10年以上も遡る2001年のことでした。ところが今朝、「最近大学受験を苦に自殺をはかる学生が出てきています」というニュースを聞いてショック。オーストラリアにも確実に教育先進国(?)のマイナス波が押し寄せてきてるようですね。(2011年暮れ)

 

下からマリコラム解説:いやあ、10年の歳月って本当に怖いなあと思います。 追記にも書いたようにオーストラリアにも受験地獄ってものがあるようです。 ただ、正直な話(ここだけの話ですよ!)これもアジア諸国の移民が持ち込んだ文化のような気もします。 以前、メルボルン大学の卒業式に参加したことがありますが、医学部の卒業生のほとんどがアジア系の学生で、教授が名前を呼ぶのに苦労していたのを思い出します。

私の友人は、わざわざ日本からお母様が出席されていて、我が子の晴れ姿を撮ろうと舞台袖まで行ったにもかかわらず、「イケダ」を「アイケダ」と発音されて、シャッターチャンスを逃すハメに。なんともお気の毒でした。

たしかに英語圏で教育レベルも高く、のんびりしたお国柄は教育熱心な親御さんにも人気があるようです。

        この大きな自然に抱かれて、命の大切さを再考してもらえたらなあ、と祈ります。


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投稿日時:2012年04月13日(金)1:45 PM

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