2012年01月27日(金)
留学修行時代① 自由とは?
みんなと同じ年頃、私もはじめて海外留学を経験した。アメリカのカリフォルニアだった。
大学の英文科クラスがひと夏の経験としてこぞって参加したから、本格留学というより修学旅行型留学。しかも宿泊先は、大学寮でホームスティじゃなかった。部屋に戻っても日本人だらけ。深夜まで日本語が続く。しかも女の子だけの寮だし、そうとううるさかったはず。
私の部屋はたまたま一人部屋で、超ラッキーと思いつつ、結局みんなの溜まり場になってしまっていた。
ある日、とっても穏やかで笑顔しか見せない「仏(ほとけ)のクリス」と呼ばれる寮の先生が、みんなをホールに集めて、初めて真顔を見せて言った。
「みんな自由な国に来たんだ。ここでは個人の自由はとても大切にされる。みんなが友達と話したい自由。日本語で話したい自由。徹夜までおしゃべりしたい自由。これらを守ってあげたいと心から思う。
でも一方で、考えてみてほしいんだ。
疲れてるから早く休みたい人の自由。勉強に集中したい人の自由。読書したい人の自由。真剣に英語を学ぼうとしてる人の自由。そういう自由を奪って自分の自由だけを楽しむのはどうだろう。
自由っていうのは単に『やりたい放題』ってことじゃないんだよ。みんなに平等に与えられた権利で、いっしょに守っていかないと決して守れない権利なんだ」
その夜からみんな、確かに少し変わった。夜に話すときの声はずっと小さくなったし、相手が勉強してたら、部屋に入りかけても静かにドアを閉めるようになった。
たった1ヶ月の留学で英語がどこまで伸びたかなんてわからないけど、「自由の女神」のプライドは、ちょっとだけ理解できた気がする。
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