マリコラム

2015年04月27日(月)

いつも心に地球儀を!

 

このコラムを最初から読んで頂いている方はご存知のように、

この連載は10年以上前に書いていたものを再現したもので、

最終回の「日本人をやめて地球人になろう!」でいったん終了している。

その次の「英語のミラクル」からは、新たに書き始めたものだ。

 

ところが、掲載し忘れてたコラムが最近見つかった。

それが今回のコラム「いつも心に地球儀を!」。

せっかくなので、掲載させていただきます。

13年近く経って、日本の国際化はどれだけ進んでいるでしょうか。

 

 

 

               いつも心に地球儀を!

 

世界には、いろんな国がある。

たとえば日本では、アパートの「西日が入る部屋」は、暑くて格安になる。

ところが、日光が貴重な北欧では、反対に「いい部屋」として高くなる。

「目上の人の目を直視するのは失礼」と感じる文化もあれば、

「目を見ないのは失礼」と考える文化もある。

 

日本では、よく茶碗を手で持ってご飯を食べるけど、これは韓国では下品。

礼儀正しくしたつもりが、かえってバカにされたと機嫌をそこねたりする。

世界には「祖国」に命をかける人もいる。

また国家を一種のサービス機関にすぎないと考えて

「サービスのいいところならどの国でも同じ」と考える人もいる。

 

それがいいとか悪いとか論じる前に、 そういう見方もあるってことを知っておくことが大事だと思う。

日本に来たインドのビジネスマンをカラオケに連れて行くと、

「私は人前で歌う奴隷じゃあないんです」と拒否されてびっくり。

という話も聞いたことがある。

インド人のほうにしたら、合理的にビジネスの話に来ているのに、

“裸のつきあい”を強いる日本の企業文化にほとほと疲れてしまったみたい。

さらに、日本の学歴差別や民族差別が「カースト制度以上に見えた」とも。

“他文化への理解”は、世界が狭くなった今、切実な問題だ。

 

 

以前、NYでハイチ人と韓国人との間で対立が起きたことがある。

その背景には文化の違いがあった。

ハイチ人は話しているとき、よく相手の手や腕に触る。

親愛の表現なのだ。

ところが一般に東アジアの文化圏では、これはあまり礼儀正しくない。

そこで接触を嫌がると、ハイチ人は「自分たちを差別している!」と感じようなのだ。

こんなことから、感情の摩擦が起こって、韓国人の店の不買運動にまで発展してしまったと聞く。

 

文化の違いは、人間関係が深ければ、「こんな見方もあったのか!」と新鮮な発見となり、

相手への尊敬も増すかもしれない。

しかし、「誤解」を生み、「対立」をもたらすことが多い。

一番いけないのは「押し付け」だ。

他の人の考え方や文化を知らない人は、無意識でそれをやっている。

 

日本に来たイスラム教徒の男性。

奥さんは日本人で、子供も日本の学校へ。

給食で、イスラム教徒には食べられない豚肉が出るので困った。

「その日だけ、お弁当にしてほしい」と学校に頼んだけれど、

みんな一緒のものを食べるのが、教育のひとつと言われて、断られてしまった。

結局、「お昼ご飯抜き」にせざるを得なかった――そんな話もある。

「郷に入っては郷に従え」という。

それでも、人に強制するのはおかしい。

何でもそろえるのがいいと思う集団主義の傾向が、日本にはあるようだ。

 

「日本に住んで、一番いやだったのは、

すぐに『みんなそうだから』『みんなやってることなんだから』と言われることだった」と言った人もいる。

ともかく、相手がどう思っているか聞くことは大事だ。

 

「聞く耳を持たない」傲慢さは、自分ではなかなか気がつかないものらしい。

多文化が出合う現代。

その「出合い」を「衝突」にしないで、喜びの「合奏」にするには、いったい何がいるのだろう?

 

[2002年12月執筆]


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投稿日時:2015年04月27日(月)10:51 AM

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