マリコラム

2012年10月03日(水)

なぜ犯罪は起きるんだろう。~日本を出たついでに一度考えてみよう

 

 

 

人を疑う――なんか悲しいことだ。 

でも何か起こった後には、疑うどころか憎んだり、

恨んだりして、いつまでもくすぶり続けてしまうことになる。

あの時、もっと自分が注意してたら、相手にその気を起こさせなかったんじゃないか?

と自分を省みることもしていいんじゃないか。 

そのほうがまだ建設的だ。 

 

人のお金、モノを盗む、なんてもちろん悪いに決まってる。 

警察につかまったら一生、その人の汚点として残る。 

時には、過去一回の盗難記録で入国を拒否されることだってあるのだ。

じゃあ、なぜ危険をおかしてまでわざわざ人のモノに手を出すのだろう。

 

誰だってお金は欲しい。 ラクして手に入れたい。 

でも「犯罪」にはかかわりたくないから、自分のできる範囲で暮らしているんだ。 

空き巣をしてまでポルシェが欲しいとは思わない。 

 

みんながみんな、そう、「自分のできる範囲で生活すればいいんだ!

無理しないで」と思えば、銀行強盗とか窃盗とか起こらないんじゃないか。 

ということは、限界を超えてまでお金が必要な(欲しい)人たちが危険をおかしてるってことだ。 

 

 ――それはどんな人たちだろう。 スゴイ強欲な人たち? 

もっといい車が欲しいとか、ブランド品が買いたいとか? 

 

ある程度の生活レベルが維持されてる人は、

社会的地位や人間関係、プライドというものがあるだろうから、

「犯罪」に手を染めて、それらすべてを失いたくない。 

もちろん、欲に負けて手を出す人もいるだろうけど、これはごく少数派。 

犯罪なしでも生きていける人たち。

 

そうすると、世の中には「犯罪なしでは生きていけない人たち」が存在するということか。 

それこそが、とても悲しい事実。 

空き巣のプロや犯罪組織という特殊世界を除けば、

その大半は実は、極貧の人たち。

 

その極貧になった理由の大半を占めるのが、麻薬かアルコール。 

 

繰り返し言うように、人間、無理せず自分レベルの生活をしていけば、

金持ちとはいかなくても「極貧」にまでなることは滅多にないはず。 

万一仕事がなくても、社会が最低の保障をしてくれるはず。 

でもアルコールやドラッグ中毒者は、そのお金さえもすべてお酒やドラックに使ってしまうわけ。 

水道代や電気代、食費のために支給されたお金なのにね。 

 

もちろん仕事なんてできる体も気力もありません。 

ドラッグに溺れて、幻想と白昼夢の中にいるときだけがハイなんだから。

 それが切れるととっても落ち込む。 

人生が見えてくるから。 「自分は何をやってるんだろう」 とドン底まで。 

それを忘れるにはまた次の薬が必要。 ないと頭がおかしくなりそうで、発狂しそう。 

あ、でもお金はない。 

ドラッグなんてもちろん安くはありません。 

お金がないことには買えない! もうとにかく何とかしてお金をくれ~!

 

というわけで、銀行強盗犯のなんと6割はこうしたドラッグ中毒者だという。 

銀行強盗なんて大掛かりなことさえやってしまうのだから、

誰かのお金を手当たり次第探します。 

それで誰かが困るとか、犯罪になるとか、

もうそんな良識なんて吹っ飛んでます。 

とにかく人間に酸素が必要なように、彼らはドラッグが必要。 

それなしでは生きていけない。 

善悪の問題じゃなく、生死の問題! ――というくらいに追い詰められる。

 

 さあ、ここまでくると、

「確かに自分も不注意だったけど、人のお金を盗むなんてよくない!」

と怒っているような段階ではありません。 

日本が世界でもっとも安全な国のひとつなのは、

日本人が良識にあふれてるとか、みんながお金持ちだからとか、

そんなわけなくて、ドラッグがまだそれほど普及してないからにすぎない。 

地獄の苦しみかもしれないけど、ドラッグを断ち切るには、

やっぱりそれをストップさせるしかない。 

彼らに次のドラッグを与えないためにも、

盗難のチャンスを与えてはいけない。

 

 

 

誰も最初から、こんなシナリオなんて期待してなかった。 

いつかは止められると思ってたはずなんだ。 

そうして何人が、周囲に危険を振りまきながら、

命を落として行ったことか。

 

人生の途中には、辛いこと、悲しいこと、やなこと、たくさんあるけど、

それでも世の中をシラフで生きられるほうが、まだどんなに幸せか――。

 

海外は危険だ。 日本はまだ安全でよかった。 

それだけでいいんだろうか。 

 

犯罪の絶えない世の中には、

もっと深い苦しみ、深層があることだけは覚えておきたい。

 

下からマリコラム解説: 今回の内容はかなりシリアスなので、ここに掲載するかどうかは結構悩みました。

いや、正直言うと、見送るつもりでした。

でも、最近、ホームルームに日本領事館から領事を迎えて犯罪防止のお話をしてもらったときに、領事さんの熱弁を聞きながら、やっぱり無視できる問題ではないなと痛感しました。

日本にいたときの私は、ドラッグなどまったく無縁の安全地帯にいたため、海外に出て、こんなにも多くの人が、特に若者が、人生をそれらによって棒に振ってる現実に、打ちのめされました。 ショックでした。 

でも、この事実から目をそむけて、海外生活は語れないと思うのです。

 

 


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投稿日時:2012年10月03日(水)4:05 PM

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